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レチノイン酸の話

 
     
 

 レチノイン酸はビタミンA誘導体の総称でレチノイドとも呼ばれます。レチノイン酸は現在、ニキビの治療ばかりでなく、シワやしみなどを改善する皮膚の若返り薬として利用されています。

 レチノイン酸は皮膚の代謝を強力に促します。表皮における角質の剥離、角化細胞のターンオーバーの促進、表皮の肥厚、真皮乳頭層の血管新生の促進、さらに長期的な効果として、線維芽細胞のコラーゲン産生促進作用による真皮肥厚、皮脂の分泌の抑制などの作用があります。

 このレチノイン酸はニキビの治療によく使われています。角質の代謝を亢進し毛穴を詰まり難くして、皮脂が皮下に貯まるのを抑えます。トレチノイン(Retin-Aなど)、その類似物質であるアダパレン(Differin)などの外用薬があります。イソトレチノイン(Accutane)は難治性の嚢胞性ニキビに使われる内服薬で、皮膚代謝の亢進の他、皮脂腺の働きを抑え、皮脂の分泌を抑制することでニキビを改善します。但し、胎児に奇形を生ずるなどの副作用が報告されており、医師による厳重な服薬管理が必要です。日本ではまだ承認されていません。

 レチノイン酸は美容の領域にも応用されています。表皮と真皮の両方のレベルで皮膚の創傷治癒を促進する働きがあり、皮膚の張りや小ジワを改善します。角質層を積極的にはがし、皮膚の基底層に働きかけてコラーゲンを増殖し、キメ細かくふっくらとした肌質に変えていきます。そればかりでなく、皮膚の角質剥離や角質の増殖促進作用を通じて、シミや色素沈着を薄くする効果もあります。ステロイドとハイドロキノンとの合剤であるTri-Lunaという処方薬はアメリカで肝斑に対する適応があります。

 レチノイン酸を外用すると塗布後数日以内に皮膚表面の角質の著しい剥離が始まります。これを繰り返すことで皮膚が徐々に生まれ変わり、ニキビやシミ、シワが改善してきます。最初の1~2ヶ月間は皮がむけたような状態が続きますが、その後はキメ細い滑らかな肌質に変わります。レチノイン酸は症状や体質に合わせて適切な濃度のものが処方されますが、いきなり高濃度のものを使うと皮膚への刺激が強すぎ、かえってシミを増やすこともあるので注意してください。またレチノイン酸は肌のバリア機能が低下させるため、必ずサンスクリーンを併用してください。

 レチノイン酸は魅力的な薬ですが、使い方を間違えるとトラブルを来しかねない諸刃の剣です。その利用に際しては、必ず医師の指導を受けるようにしてください。

 

 

 

 

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