アンチエイジングの治療は実に様々です。同様の治療であっても、オフィスによって料金の随分異なることがあります。少しでも安価なところを選びたいと思うのは当然です。ただ値段だけで安易に決めてしまって良いものでしょうか。

　アンチエイジングは自由診療です。ですから施術を提供する側でその価格を自由に設定します。例えば、フォトフェイシャルやレーザー治療。どのオフィスでも同じような器械を使っています。これらは基本的に施術に材料を必要としないので、その価格は主に手技料を反映します。経験が豊富で施術に自信のあるところでは、少し価格を高めに設定することもあるでしょう。より確実に効果を期待できるのであれば、結果的には満足できるかもしれません。

　材料が必要な施術の場合。例えば、ボトックスやヒアルロン酸など。オフィスによって使っている材料が違う場合、それが料金に反映されます。いわゆるブランド品ではなく、ジェネリックの材料を使うオフィスでは少し値段が安いかもしれません。正規品ではなく、第三国から輸入したちょっと怪しい製品を使っているオフィスもないわけではありません。当院ではボトックスとヒアルロン酸は米国アラガン社の正規品を使っていますが、実はその仕入れ価格は毎年上昇しています。日本の処方薬と違って、価格の統制がありません。いわば、生産者側の意のままに価格が決められるのです。その典型的な例がビタミンC注射。その仕入れ価格はこの数年でありえないほどに上昇しています。具体的には以前は１バイアル＄２０以下で購入できたものが、現在は１０倍近くに高騰しています。これにはいろいろな理由があるのですが、安全性の問題と称して製造元が限られていたり、ビタミンC点滴に一部の癌に対する治療の有効性が証明されたため、抗がん剤で儲けたい製薬会社の利害関係が絡んでいたりするのです。

　アンチエイジングはその手技を受けてしまえば終わりというものではありません。治療前のコンサルテーション、そして施術後のアフターケアを含む総合的なサービスです。丁寧なコンサルテーションでその人に最適な治療を親身に相談させてくれる、施術後にお肌のトラブルがあった場合にしっかり対応してくれる、なども治療の大切な一環です。値段が一番安かったのでここに決めたけれども、治療後に思わぬことが起きてしまい相談したいが、真面に取り扱ってくれない。これでは困ります。