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  人の身体と炭酸ガス:部分痩身術への応用  
     
 

 炭酸ガス、すなわち二酸化炭素というと皆さんどんなイメージをお持ちですか。肺から取り込まれた酸素が体内で燃焼した結果、呼気中にでてくる代謝産物であるとか、車の排ガスや工場の煙突からでてきて空気を汚すとか、近年大きな環境問題となりつつある地球の温暖化を引き起こす原因らしいなどのことから、不要なものあるいは悪者というイメージはありませんか。ところがとんでもない。炭酸ガスは私たちの身体にとりとても大切なものです。血液や脳脊髄液のpHを適切な範囲内に調整したり、延髄に働いて生命の維持に必要な呼吸の調節をしたり、大切な脳に酸素や栄養を運ぶ脳血管の血流をコントロールしたりなど、身体の正常な働きに欠かせません。

 この炭酸ガスを美容の目的に応用することがあります。炭酸ガスをカーボメッドという特殊な医療機器を用いて皮下に注入します。カーボメッドは元々フランスで開発され、動脈硬化やリウマチの治療に使われていました。注入箇所の血流を増加させ、痛んだ組織を修復する効果があるのです。この炭酸ガスを細い針で皮下脂肪の中に注入すると、不思議なことに脂肪が分解されて、その部位の部分痩せができるのです。この痩身の効果は、脂肪細胞の破壊、細胞の代謝の促進、血流の増加、新しい血管の形成による酸素供給の増加、皮膚コラーゲン産生の刺激、ガスの圧力による脂肪やセルライト破壊作用などが関係しています。身体のいろいろな部位の痩身やセルライトの軽減ばかりではありません。コラーゲン産生刺激による皮膚の若返りや妊娠線の改善、にきび痕の改善、さらには血流の改善による眼の隈の軽減、頭髪の増毛、乾癬の改善などにも効果のあることが知られています。特に人気があるのが、頬、二の腕、お腹、臀部、太ももなどの痩身です。

 注入した炭酸ガスはどうなってしまうのか心配な方もいるでしょう。確かに注入した直後は皮膚が盛り上がりかなり膨れたようになりますが、不思議なことに数分もするとその腫れも退いてきて、すぐに元に戻ります。炭酸ガスは急速に血管内に吸収され、肺まで運ばれすぐに呼気ガスとなって体外にでてくるのです。痛みもそれほど大きくなく、術後のダウンタイムもありません。ただ、満足する効果を得るためには治療を複数回繰り返さなくてはなりません。部分痩せをしたいけど、外科的な脂肪吸引は痛みが辛そうだし、出血や術後の神経痛などの合併症も恐いという方、炭酸ガスによる痩身を一度試してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

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